『プライベート・ストリッパー』
サラリーマンの彰洋には夜の姿がある。それは人気ストリッパーの「リンジー」。大ケガで入院していた親友・大河の家を守るためにお金が必要で、大河には秘密で始めた仕事だ。幼いころ、ネグレクトされていた彰洋を見つけてくれた、兄弟のように育った大河……優しくて男前な彼に彰洋はもう20年も恋をしている。告白する気もないし、ずっと親友でいるはずだった。なのに退院した大河にステージで裸で踊る「リンジー」の姿を知られてしまい……!? 大好評を博した『月と野蛮人』のスピンオフ作品『エル』、電子限定ペーパーも収録!!(引用:pixivコミック)
こちら、試し読みで絵がドストライクだったんです。
『エロイカより愛をこめて』が大好きで、青池保子さんの絵が大好きなんですが、この『プライベートストリッパー』の絵の雰囲気に、勝手に青池さんみを感じてしまい、さらにちょうどいいところで試し読みが終わりで、迷わず購入しました。この、ちょっと昭和っぽい感じの絵が好きなんです。
で。
結論から言うと、表題作はかなり物足りなかった。けど同時収録の『エル』がかなり良かったです。
表題作は、両片思いで一方は自覚なしの社会人幼馴染の話。お金が必要になった受けが、攻めに内緒でストリッパーのバイトを始めるんだけど、それを知った攻めが自分の中の恋心に気付いて‥という展開です。王道ストーリーで最後はハピエン。
そう、、、
それだけなんです。
互いが互いを意識しだす過程とか、ストリッパーという職業を生かすエピソードとか(嫉妬とか、エロとか、いろいろあるはずでしょう泣)ほぼなく、うっすいんですよ。紆余曲折なく、あっさりと終わってしまいました。 プライベートストリッパーというタイトル回収、一応されているんですが、これじゃない感。
けれど絵はやっぱり大好き。 キャラの顔が面長で彫りが深い、髪の毛の描き込み量がめちゃ多い。全員、美術室にあるあの白い胸像みたいなローマ人です。体格もガイジン。背高いし、けつプリだし、肩幅あるし、腰の位置高いし。受けもがっちりしてます。 こういう古のザBL漫画、っていう絵、大好き。
この雰囲気を存分に生かしているのが同時収録の『エル』です。作者様の別の作品の番外編のようなんですが、物語の舞台が中世の中東っぽい感じで、キャラの顔がばっちりあってるんです。
それぞれに仕えるご主人がいる高官×高官のカップル。お互い、一番に守るべきはご主人様なので、最初は体だけの関係で付き合っている(と思っている)が、嫉妬や危機を乗り越えて無事両思いに(なったと思っているがとっくの昔から両思い)という、こっちも読み切り王道展開。
けど、砂漠で馬にのった半裸(いいカラダ)の男たちがバッサバッサと敵を切り倒したり、ろうそくの灯りに照らされた夜のテントであわや3Pしそうになったりと、滾るエピソードいっぱい。 主人公(受け)の高慢でエッチ好きな性格とか、当て馬キャラが美人で不憫な展開なのもいいです。 最後は、受けメッチャ攻めのこと好きじゃんてなるのもキュンとする(攻めはずっと一途)。
そして再度になりますが、お話にドンピシャのローマ人顔絵!この画風でしかありえん!と思う。
同時収録の作品がこれだけのクオリティーなのに、なぜ表題作はこうなっちゃったのか、非常にもったいないなと思いました。絶対もっと良くなるはずなのにって思います。 とにかく、同時収録作品の方で大満足した1冊でした。